令和7(2025)年度 受賞者一覧

今年の総務大臣賞・日本ITU協会賞の受賞者は、以下の方々です。

誠におめでとうございます。  Congratulations!!

受賞者へのお祝いメッセージはこちら(5/8(木)まで)  Message to Award Winners

(敬称略・所属は推薦時)

総務大臣賞(1件)  
1

 

吉野 仁 / ソフトバンク株式会社  

1999年10月より現在に至るまでITU-R等において標準化活動に従事し、ITU-R SG5 WP5A会合、 APG会合及びWRC(世界無線通信会議/World Radiocommunication Conference)等、数多くの国際会議において標準化活動に大きく寄与。NTTドコモ在籍中は移動業務の中でもIMTを担当し、WP8FにおいてIMT-2000高度化及び後継システムに関する将来ビジョンの勧告化、CPMレポートの作成に大きく貢献。年に2度開催される陸上移動業務(IMTを除く)に関する各種ITU-R勧告・報告の新規策定・改訂作業等が行われるWP5A会合では、2002年のITU-R WP8A(現WP5A)から現在に至るまで、23年間の長きにわたりWG議長を務め(旧WP8AのWGも含む)、ITSや275 GHz超等のトピックに関する議論の活性化に大きく貢献。特にITS分野では、我が国から提案したWRC-19議題1.12(ITS用途の周波数調和)に基づき検討されたITSの周波数配置に関するWRC勧告について、議長の立場で各国との調整に尽力する等勧告の成立に寄与。WRC-27会期では、前述のとおり我が国としても関心の高いITSや鉄道無線などを所掌するWP5AのWG3(交通産業アプリケーションを担当)議長を務めるなど、国際標準化活動に対して多大な貢献を行っている。

 
日本ITU協会賞 特別賞(1件)

1

原山 優子  / 国立研究開発法人情報通信研究機構

科学技術政策、イノベーションや教育学、経済学についての知見と経験を活かし、AIについての学界の議論をリードするとともに、産学官による議論の場の醸成や連携に尽力。2024年5月に採択された欧州評議会のAI枠組条約については、学界の意見の集約や政府を代表してのインプットなどを通じてその交渉過程に資した。AIについてのマルチステークホルダーによる国際的な議論の場であるGPAI(Global Partnership on AI)においては、2020年から2021年まで「仕事と未来ワーキンググループ」の共同議長を務めたほか、GPAI東京専門家支援センターの初代センター長として2024年7月の設立やその後のプロジェクトの推進に寄与。GPAI東京専門家支援センターは、パリ、モントリオールに続き設立されたアジア初のGPAI専門家支援センターであり、その設立により、欧米亜の本分野の議論の深化や連携が促進された。また同氏は生成AIの商用化時の安全性を保障する実践的なアプローチの展開を支援するSAFEプロジェクトなど、同センターの取組みを主導し、この分野の産学官の連携に尽力。さらに多様なステークホルダーと積極的に議論する場を設けるなど、多くの産業や社会活動に大きな影響をもたらすAIについての健全な議論の進展への貢献は甚大である。

 
日本ITU協会賞 功績賞(12件)  
1 岩谷 純一  / 日本電信電話株式会社  

ITU-R、APT等において日本代表団の無線LAN主担当として継続的に活動し、WRC(世界無線通信会議/World Radiocommunication Conference)-19で5.2GHz帯無線LANの屋外利用・高出力化の無線通信規則改定を実現させ、AWG(APT無線グループ/APT Wireless Group)会合で無線LANのAPT報告作成を主導、ITU-R勧告改訂の議論などにも貢献。またIEEE 802.11ax無線LAN標準化にも貢献した。

 
2 岩村 俊輔  / 日本放送協会  
ITU-TおよびISO/IECの合同作業班においてITU-T勧告H.266映像符号化方式の標準化に寄与。性能評価、検証試験、適合試験を所掌する複数のAHG(アドホックグループ/AdHoc Group)副議長を担い、標準化における符号化品質の管理を取りまとめて、方式の性能向上に貢献。また方式普及のため、ITU-Rでは放送利用に関するレポートBT.2538を策定した。  
3 河村 圭  / 株式会社KDDI総合研究所  
ITU-T SG9ラポータとしてケーブル技術DOCSIS(ケーブルテレビ網を使用して高速データ通信を行うための国際標準規格/Data Over Cable Service Interface Specifications)仕様、ケーブルIP化、ホログラフィ伝送の勧告作成に貢献。同SG16エキスパートとして映像符号化方式への技術提案を10年以上継続しISO/IECとの連携勧告を作成。これらにより、WTSA(世界電気通信標準化総会/World Telecommunication Standardization Assembly)-24でSG再編に関わる日本提案の達成を担い、SG9・SG16統合後のSG21副議長に就任した。  
4 榊原 守浩 / 公益財団法人KDDI財団  
APT加盟諸国でのデジタルデバイド解消プロジェクトや、カンボジアでの学校建設や課外授業の提供、ミャンマーでの大学教育用クラウドネットワーク構築やアプリコンテスト開催等を、日本側責任者として推進し、ICT環境の整備を通じた地域活性化、教育環境の改善や教育機会の提供に功績を上げた。  
5 澤田 政宏 / ドコモ・テクノロジ株式会社  
移動通信システム分野において、第3世代から第5世代にかけて、ITU、3GPP(3rd Generation Partnership Project)、5GAA(5G Automotive Association)等の国際標準化活動に従事、全体アーキテクチャや接続時間短縮、リソース効率化や品質制御などの改善機能を提案し、移動通信の発展と実用化に大きく寄与した。  
6 髙田 不二夫 / 特定非営利活動法人BHNテレコム支援協議会  
日本無線ではタイやインドネシアでの自動車電話システムの開発設計業務に従事し、BHNではインドネシアスラウェシ島地震被災者支援やAPT研修業務に従事。特にコロナ禍のAPT研修では、遠隔研修を可能とするICT技術を駆使したオンラインデマンド型学習管理システムをいち早く構築し、場所や時間に捉われない新たな研修スタイルの構築に貢献した。  
7 長尾 慈郎 / 日本電信電話株式会社  
ITU-T SG16およびSG21において、Question 8のアソシエイトラポータとして多国間の意見を調整し合目的かつ建設的な文書作成及び議論を先導するとともに、Immersive live experience(超高臨場ライブ体験)に関する日本提案の技術を数多く含むH.430シリーズの勧告化に多大に貢献した。  
8 福井 裕介 / KDDI株式会社  
WRC(世界無線通信会議/World Radiocommunication Conference)-23議題1.16(非静止軌道における固定衛星業務の移動する地球局の使用)の担当として関連会合に参加し、WRC-23において議題1.16APTコーディネータ等を務め、決議作成・RR改正に貢献。また、現在、WRC-27議題1.13(衛星ダイレクト通信への新規周波数分配)の担当として、国内外において検討を推進している。  
9 堀内 信吾 / 日本電信電話株式会社  
2013年からTM Forumに参加。14件を寄書しオペレーションアーキテクチャや管理モデルなど現在のオペレーション技術の礎となる重要なドキュメントの制定に貢献。NTTの統括リーダーとして6つのPoC(概念実証/Proof of Concept)プロジェクトに参画し、4度のCatalyst Award受賞。最新の議論状況について日本国内へも積極展開した(TTCセミナーなど)。  
10 眞野 正稔 / 沖電気工業株式会社(一般社団法人 情報通信技術委員会へ出向中)  
BSG(標準化格差解消/Bridging the Standardization Gap)に関わる活動、および「クルマがネットワーク端末になる、およびネットワークの一部になることに関する次世代移動通信網の標準化等課題の検討」をテーマとした「コネクテッド・カー」に関わる活動を、関連する国内団体、ITU-T、APT、ASTAP等との連携など、各国との共同作業を通じて実用化に向けての推進に貢献した。  
11 山田 徹 / 日本電気株式会社  
副議長としてITU-T SG20の運営に大きく貢献。副議長の任務としてITU-T JCA(ジョイントコーディネーションアクティビティ/Joint Coordination Activity) IoT and SC&C (スマートシティアンドコミュニティ/Smart Cities and Communities)議長を担当し、様々な団体の標準化情報の一元化を主導。APTではASTAP EG IOT議長を担当、アジア地域のスマートシティ事例収集やSDGsとの関連性整理等を主導し、地域の都市課題明確化に貢献した。  
12 山本 秀樹  / 沖電気工業株式会社  
ITU-T SG16の副議長として、2023年にメタバースに関する事前検討グループ(FG-MV)を立ち上げ、議論がスムーズに行えるよう推進し、日本からの提案が適切に議論されるように支援を行うなど勧告化に貢献。また、2022年から車載通信課題(Q27/SG16)のラポータを務め、各国の提案に基づく勧告作成にも貢献した。  
日本ITU協会賞 奨励賞(15件)  
1 石川 泰光・小暮 陽一 / 株式会社 日本開発サービス  
石川氏は、2015年から現在まで、5カ国のJICAサイバーセキュリティ関連事業に従事。現在もカンボジア・フィリピンの国家CSIRT(Computer Security Incident Response Team)及びインドネシア・モンゴルの国立大学を対象としたサイバーセキュリティ人材育成プロジェクトを主導しており、高い成果を挙げている。
小暮氏は、JICAが実施したICT分野の22の技術協力プロジェクトおよび10の調査に参加。最先端技術を含むソフトウェア、ネットワーク、セキュリティなど幅広い分野で相手国人材への技術移転を行い、合計で120を超える教科書・研修教材を作成するなど多くの実績を挙げている。
 
2 王 寛 / 日本電信電話株式会社  
BBF(ブロードバンドフォーラム/Broadband Forum)で光/無線/コンピューティングのリアルタイム制御技術の提案を主導するとともに、エディタとして仕様作成に大きく貢献。さらに、ITU-TやO-RANで光アクセスシステムでのモバイル収容やRANのオープン化、IOWN(Innovative Optical and Wireless Network) GFでOpen APNのアーキテクチャ文書作成への文章提案等、光と無線の両分野にて幅広い貢献を行った。  
3 木谷 佳隆 / 株式会社KDDI総合研究所  
ITU-T Q1/9(現SG21)でケーブルテレビ向け放送通信映像伝送動的切方式の勧告化を提案しエディタとしてITU-T J.482とITU-T J.483の作成を牽引。ITU-T WP3/16(現SG21)とISO/IEC JTC1/SC29の共同会議体で映像符号化方式ITU-T H.266の勧告作成とその後継方式の技術提案を通じたH.267の議論開始に貢献した。  
4 小石川 俊文 / NTTコムウェア株式会社  
ETSI-ZSM設立企業の立場で、ネットワークサービス管理の自動化を目指し、標準化を牽引。AI関連の自動化オペレーション、E2Eサービスのライフサイクル管理、Closed-loop等提案で貢献。O-RAN Allianceでは、オープンで高度化された仮想化環境による無線ネットワーク運用に向け、3GPPとの相互接続性の確保に貢献。  
5 小岩井 航介 / KDDI株式会社  
デジタルアイデンティティ分野の仕様をITUがエンドース等する、FIDO(Fast IDentity Online)アライアンスやOpenIDファウンデーションで2019年より活動し、パスキーを用いた安全な当人認証手段や、eKYCによるオンラインでの本人確認手法の仕様策定や国内での普及に貢献。その実績を生かし、デジタル庁有識者会議にも参画・貢献している。  
6 清水 和人 / 株式会社NTTドコモ  
携帯電話の業界団体GSMAにおいて、IoT機器の国際ローミングが普及する将来を正確に予測し、IoT機器に特化したガイドラインの必要性を訴求、自ら中心となり策定。また、追加必須な技術要素を明確化し3GPPにて追加仕様の提案及び策定を実現。日本および世界におけるITU策定のIMT-Advancedの発展に多大な貢献をした。  
7 末長 康孝 / 日本放送協会  
2022年からITU-R WP6AやSG6に出席し、日本の周波数方策の反映や標準化活動に継続的に貢献している。SG6では緊急警報放送について講演を行い日本の技術を広くPRし、WRC(世界無線通信会議/World Radiocommunication Conference)-23においては「第一地域のUHF帯の利用見直し」の検討グループに日本代表として1名で出席し、各国との厳しい交渉を進め日本の放送保護に大きく貢献した。  
8 中村 一城 / 公益財団法人鉄道総合技術研究所  
2017年より現在に至るまでWP5A会合及びAWG(APT無線グループ/APT Wireless Group)会合への継続的参加と寄与文書作成に携わり、我が国で注力している鉄道無線の分野において、長きに渡り標準化活動に貢献。また、情報通信審議会ITU部会地上業務委員会の中の陸上移動通信分野を担当する作業部会構成員として、寄与文書及び対処方針等の国内検討においても多大に貢献した。  
9 原澤 賢充 / 日本放送協会  
360度映像をヘッドマウントディスプレイで表示する際に必要な視野・空間解像度特性の規格化に、勧告BT.2123等を通じ貢献。視覚心理学者としての専門性を活かし、多数のユーザー評価実験で得たデータを基に理想的な表示視野の広さ、極周辺視野の空間周波数特性、解像度30K×15Kの360度映像フォーマットの要件を具体化した。  
10 平山 晴久 / KDDI株式会社  
ITUで定義されたIMT-2020(5G)実現のため、O-RAN ALLIANCEにてRAN Slice SLA Assurance Work Itemの共同ラポータとして、RAN Intelligent Controllerを用いてRANにおける通信品質を保証するユースケースおよびインターフェース仕様の策定に貢献した。  
11 閔 天楊 / 株式会社NTTドコモ  
ITUで定義されたIMT-Advanced (4G)・IMT-2020(5G)を実現するため、3GPPにおいてセルラードローン、産業IoTの技術議論を主導して仕様策定を行うとともに、無線によるバックホール技術及びフェムトセル議論を主ラポータとして牽引し、標準化に大いに貢献。今後6G標準化におけるリーダーシップも期待される。  
12 松井 隆/ 日本電信電話株式会社  
2009年からIEC TC86 SC86Aに参画。2022年以降、ITU-T SG15会合に参画し、既存光ファイバの有効活用促進と、新規光ファイバの勧告化に向けた議論をエディタとして主導。2024年よりIECとのリエゾンラポータも担当しており、今後も継続的な国際標準化活動への貢献が期待される。  
13 宮武 幸信 / 公益財団法人KDDI財団  
APT能力育成活動での海外技術研修の企画・実施、同プロジェクトでのICT技術を利用した開発途上国支援でイニシアティブを発揮し活動を推進。ネパールでは、電子教材及びロボットプログム学習を利用しての就学機会の提供、ネパール語の電子書籍・電子手話教材の開発と支援学校への導入によりICT教育環境の提供、人材育成で功績を挙げている。  
14 山本 幹太 / 富士通株式会社  
ITUで定義されたIMT-2020 (5G) の普及促進のため無線基地局のオープン化を推進する O-RAN alliance において、基地局間で設定されたポリシーの衝突を解決する検討アイテムのラポータを務め、当該技術報告書の発行に尽力し、装置間のマルチベンダ化実現に貢献した。  
15 吉岡 翔平 / 株式会社NTTドコモ  
3GPP標準化において、5G NRの物理制御チャネル、V2X/端末間通信、NTN (Non-Terrestrial Network)向け通信などの標準仕様策定のための技術議論を主導し、ITUで定義されたIMT-2020(5G)の産業創出・ソリューション協創を実現する標準仕様策定に貢献。  

 

以上