令和3(2021)年度 日本ITU協会創立50周年記念 受賞者功績概要

(敬称略・所属は推薦時)

総務大臣賞及び日本ITU協会創立50周年栄誉賞(1件)  
1

 

内海 善雄 / 元 国際電気通信連合 事務総局長  
 1994年京都全権委員会議で議長を務め、日本が提案した電気通信環境の変化に伴う政策問題を世界規模で検討する世界電気通信政策フォーラム(WTPF)の設置に貢献。1999年より日本人初のITU事務総局長を2期8年務めた。この間、第三世代の携帯電話(3G)の規格統一など標準化活動の推進やIP電話許容の世界合意の形成等により通信料金の飛躍的な低廉化を進めるとともに、国連世界情報社会サミット(WSIS)を開催し、2015年までに情報社会を実現させるための基本宣言及び行動計画を採択させ、情報通信の世界的な発展に多大な貢献をした。  
総務大臣賞及び日本ITU協会創立50周年 特別賞(3件)

1

伊藤 泰彦
 長年にわたり、ITU 無線通信部門(ITU-R)の活動に従事。1993年〜1997年にITU-R SG4副議長、1997年〜2003年は同議長を歴任。2003年には、日本人初の無線通信総会(RA)議長に選出され、ITU-Rにおける標準化活動推進に貢献するなど、ITU-R活動の発展に多大な貢献をした。 2011年〜2018年、無線通信規則委員会(RRB)委員を務め、2015年世界無線通信会議(WRC-15)の年にはRRB議長として、RR改正の議論に貢献するなど、ITU-R標準化活動を広範囲、長期間にわたり牽引し、日本国内のみならず関係諸外国からも高い評価を得ている。  
2 橋本 明 / 株式会社NTTドコモ  
 1980年より継続的にITU-Rにおける標準化活動に参加し、研究委員会、無線通信総会等の議長職を歴任するとともに、様々な地上無線通信システムの国際標準化活動で多大な貢献をした。特にITU-R SG5議長時代には、第4世代移動通信システム無線インタフェース勧告(勧告 ITURM.2012)の議論を主導し、タイムリーに完成させた。この勧告は、全世界で45億人以上が利用するLTEAdvancedシステムの技術規格を含んでおり、現在に至る世界の無線通信市場の拡大と利便性向上に大きく貢献。更に、2018年にはITU無線通信規則委員会(RRB)の委員に選出され、現在も無線通信に関する世界的な規律の維持向上に多大な貢献をしている。  
3 三浦 信 /  元 国際電気通信連合  
 無線通信関係の国際会議に日本代表として多数出席し、我が国の電波権益の確保に多大の貢献。さらに、長年にわたり周波数スペクトラムと静止衛星軌道の国際的な調整をするITUの国際周波数登録委員会(IFRB)およびそれに引き続く無線通信規則委員会(RRB)の委員として尽力。IFRBでは、日本人初の議長に就任し、IFRBの改組、無線通信規則の簡素化等、ITUの機構改革にリーダーシップを発揮。世界の電気通信の方向を定める会議に顕著な貢献をし、世界の電気通信の発展に多大な功績を残した。  
日本ITU協会創立50周年 記念賞(11件)  
1 淺谷 耕一 /  工学院大学  
 ITU‑T SG15において、課題アソシエートラポータとして光アクセスシステムの標準化を主導し、光アクセスネットワークの高速化・高機能化に貢献。また、技術フォーラムFSAN(Full Service Access Network Initiative)において、光アクセスシステムに関する技術ディスカッションを推進するとともに技術ロードマップの策定を主導し、ITU‑Tにおける勧告策定の加速に貢献した。  
2 井上 友二 /  のうえノバ株式会社  
 長年にわたり情報通信技術の研究開発業務に携わり、NTT研究開発部門の責任者として産業界をリードするとともに、ITU-T等の国際標準化活動を強力に推進し、SG議長を含む標準化人材の育成にも多大な貢献をした。ITU-T局長選挙活動を通して、我が国のITUの取組みを世界に発信し、日本のプレゼンス向上に貢献。TTC理事長、総務省情報通信審議会専門委員として国内標準作成やITUへの対処方針決定において主導的な役割を果たし、我が国の標準化活動を牽引してきた。また、アジア諸国での各種プロジェクトによる生活向上への貢献や発展途上国の情報通信インフラの構築に協力する等、国際協力分野でも大きく貢献した。  
3 尾上 誠蔵 /  ドコモ・テクノロジ株式会社  
 移動通信分野の研究開発において、卓越した技術力・指導力により、第3世代から第4世代に至る移動通信システムの実用化及び国際標準化に多大な貢献をした。第4世代移動通信システムにおいては、第3世代からの円滑な世代移行が求められる中、Super3Gコンセプト(後のLTE)をいち早く提唱し、3GPPにおけるLTE/LTE-Advanced標準仕様を完成させ、最終的に第4世代移動通信システム無線インタフェース勧告(勧告 M.2012)に盛り込まれた。この技術は、今日の情報社会に欠かすことのできない多大な貢献を為していると言える。  
4 加納 貞彦 /  特定非営利活動法人BHNテレコム支援協議会  
 1970年代にITU-T SG11で始められた将来のデジタル通信網用の接続制御を実現するNo.7信号方式に関し、1977年に信号長の可変長化を可能とする新しい同期方式を提案し採択に導いた。その後も固定・移動の電話網をユーザの通話情報を運ぶ通話路網と接続制御情報を運ぶ信号網の2階層で構成するインテリジェント・ネットワークを提案。その課題検討を行う作業部会の議長として、フリーフォンや移動網のローミング接続などを実現して電話網の高度化に貢献した。  
5 川角 靖彦 /  星槎大学  
 50年以上の長期間にわたって、APT及びITUの諸活動に携わり、特に、ICTによる途上国開発支援にかかるプロジェクトや国際会議に主導的に関与。2018年〜2021年は、ITU-D SG1 「電気通信/ICT開発のための環境整備」の副議長として各国の意見調整を主導し報告書案のとりまとめに中心的役割を担った。また、「ルーラル及び遠隔地域のための電気通信」の課題では、ラポータ及び副ラポータとして議論を推進し、途上国におけるディジタルデバイドの解消に向けたガイドラインを含む最終報告書案の作成に貢献した。  
6 佐藤 孝平 /  国立研究開発法人情報通信研究機構 イノベーション推進部門 標準化推進室  
 次世代移動通信システムの国際標準化を所掌するITU-RSG8 WP8F(後のSG5 WP5D)、関連する無線通信技術国際標準化プロジェクト(3GPP)に携わり、その間、積極的な標準化の寄与のみならず、ITU-R会合の日本代表団副団長、3GPP会合のARIB団長に就くなど、IMT-2000、IMT-Advanced及びIMT-2020の国際標準化に貢献。また、APTのAPT無線フォーラム(AWF:後のAPT無線グループ(AWG))では、副議長・議長として10年以上組織の運営・改善を主導すると共にITU-Rや3GPPとの連携・協力を積極的に推進した。  
7 園城 博康 /  元 アジア太平洋電気通信共同体  
 ITUやAPTを通じて、電気通信のデジタル化、電気通信システムの標準化、途上国の電気通信開発等の国際活動に貢献すると共に、我が国の国際電気通信政策の反映に尽力。また、世界無線通信主管庁会議等多数の会合に出席し、我が国の電気通信の発展に寄与した。この間、APTの事務局次長に就き、活動を通じて幅広いAPT域内関係者とのネットワークを築き、APTでの貢献から日本人初の事務局長に就任。さらに事務局長として、第一回APT大臣会合を開催するなどAPTの運営に卓越したリーダーシップを発揮し、APT域内の情報通信の発展に寄与した。  
8 西田 幸博 /  日本放送協会 放送技術研究所  
 1996年からITU-Rにおける放送業務の標準化活動に携わり、SG6副議長、WP6B議長などを歴任し、2015年にアジア太平洋地域では初めてSG6議長に就任。議長2期目の現在、放送分野の標準化のみならず、ITU-Rの活動全般に貢献。これまでに、ハイビジョンの世界統一規格および実用化への寄与をはじめ、映像・音声の品質評価、地上デジタル放送、データ放送など数多くの勧告化を牽引。特に、日本提案の4K・8Kスーパーハイビジョンの放送実用化に向けて、国際標準提案当初から2018年の衛星放送開始に至るまで、国内外において多大な貢献を果たした。  
9 松平 恒和 /  特定非営利活動法人国際人材創出支援センター  
 各国の電気通信事業が国営・独占から自由化・競争原理へ移行し、光通信やインターネットの登場等、通信事業の技術及び原則が激変する時代に、ITU-T SG3(料金・政策及び経済問題)の議長や国際通信規則(ITR)改定のための会合WATTCのWP議長を務めた。この中で、料金という直接的な利害関係や政治的・経済的背景を基に対立する各国の意見を取り纏め、現在の通信事業者間料金交渉の基盤となるコスト原則に基づいた適切な料金設定や、円滑な交渉に必要な要素・姿勢を取りまとめたガイドライン等の策定を主導した。近年は、長年の実績・経験を活かし、今後の国際通信標準化を担う後進の育成を積極的に行っている。  
10 村野 和雄 /  元 株式会社富士通研究所  
 長年にわたりICT技術に関する研究開発及びその実用化において、指導的役割を果たすと共に、ICT産業の発展に貢献。また、国際標準化の重要性に関する深い洞察に基づき、国際標準化活動の発展と人材育成にも多大な貢献をした。とりわけ、CCITTにおけるISDN並びに高能率音声符号化方式、ITU-TにおけるSDH/ATMや光アクセス技術、ITU-RにおけるIMT-2000移動通信方式等においては、国際標準化を積極的に推進し、若手研究者・技術者に対して標準仕様の戦略的な策定や利害調整をグローバルな視点で指揮する等、後進育成にも尽力。ITU-T のCTO会議では、ICT産業全体の方向性や施策に繋がる指針を示した。  
9 山田 俊之 /  元 アジア太平洋電気通信共同体  
 アジア・太平洋電気通信共同体の事務局次長、事務局長として、長年にわたり多くの国際会議開催、多数のセミナー・研修を遂行。また、バヌアツ等島嶼国における災害監視と非常通信ネットワークの構築等のパイロットプロジェクトを牽引する等、アジア・太平洋地域各国の電気通信開発・発展に寄与。APT30周年(2009年)には、大臣会合を開催し、環境志向ブロードバンド経済の発展に向けた協力を奨励するバリ宣言・バリ行動計画を採択。また、域内のAPTへの加盟奨励に努め、我が国を含むアジア・太平洋地域のプレゼンスを高めた。  
日本ITU協会賞 特別功労賞(3件)  
1 小山 敏 /  一般社団法人電波産業会 研究開発本部  
 20年余にわたり、高度道路交通システム(ITS)の無線通信システムを所掌するITU-R SG5 WP5A(前身のWP8Aを含む)に参画し、狭域通信(DSRC)、ミリ波車載レーダや車車間・路車間通信の国際標準化に貢献。WRC-19においては、ITS用周波数の世界的調和について審議するサブWGの議長を務め、WRC勧告の策定に大きく貢献。2009年からは、ITU-R SG5 WP5AにおいてITSサブWGの議長に就いて活動をリードした。APTでは、ASTAP及びAPT無線グループ(AWG)のITS担当タスクグループの議長に就き、国際標準化の推進で中心的な役割を果たした。  
2 榑松 八平 /  特定非営利活動法人BHNテレコム支援協議会  
 約30年間、無線通信システムの開発と開発途上国プロジェクトに従事。その間、CCIR SG9会合、WARCに出席するなど、国際標準化活動で貢献。また、無線通信技術の専門家としてJICAルーラル通信計画研修の講師を長年務めたこと等から、2007年BHNテレコム支援協議会の支援活動に参画。APTの活動を通じ、途上国のICT分野の人材育成、及び我が国開発のICT関連システム/サービスの途上国への効果的な技術移転(主に遠隔医療、防災・減災分野)に今でも精力的に取組んでいる。更に、2017年度からは、SDGsに資するICT関連の人材育成に取組む等その功績は顕著である。  
3 清水 孝雄 /  株式会社 TBSテレビ  
 長年に渡り、テレビジョン放送技術の発展と国際標準化、世界各国への技術普及に貢献。1973年にはテレビ番組の制作技術に革命をもたらすフレームシンクロナイザーを開発し、その技術を世界に広めた。ITUでは、1981年から17年間に渡り、放送に関する国際標準化活動に積極的に参加。エンハンストTVに関する作業班(1995)議長、デジタルTV同期(1989)、EDTVの勧告草案作成作業班(1991)の議長として活躍し標準化活動を推進。国内外の信頼と評価を得、国際標準化と放送の発展に寄与すると共に、民放界におけるITU活動の礎を築いた。アジアではABU(Asia-Pacific Broadcasting Union)のスタジオ技術部会長としてデジタル放送技術の向上に努めた。またブラジルにおける日本のISDB-Tデジタル放送方式の普及に尽力しその後の南米への日本方式普及の礎を築いた。  
感謝状(9件)  
1 岡部 年定 /  
日本人をはじめ広く会議参加者のサポートに貢献  
2 田中 三郎 /  
日本人をはじめ広く会議参加者のサポートに貢献  
3 小菅 敏夫 /  
研究会主査として研究会業務に貢献  
4 齊藤 忠夫 /  
研究会主査として研究会業務に貢献  
5 橋本 明 /  
研究会主査として研究会業務に貢献  
6 藤井 拓三 /  
研修を通じ途上国の人材育成に貢献  
7 木下 重博 /  
8J1ITUの運用に貢献  
8 安田 浩 /   
日本ITU協会賞選考委員長として貢献  
9 山下 孚 /   
当協会専務理事退任後も翻訳業務等多数の協会業務に貢献  
礼状(3件)  
1 株式会社京王プラザホテル /   
式典やセミナ、招請会合等の会場運営に多大な協力  
2 株式会社キンコー /   
協会発行の印刷物について多大な協力  
3 税理士法人出塚会計事務所 /   
協会の経理及び税務の適正な業務遂行に多大な協力  

 

以上